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価格が曖昧な「住宅」という商品

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価格が曖昧な「住宅」という商品

「坪単価」という言葉を聞いた事がありますか?

世の中のほとんどのものには決まった価格があります。カーディーラーでも家電量販店でも近所のスーパーでも、商品の前には必ずと言っていいほど値札が置いてあります。ないのは高級寿司店くらいでしょうか。「時価」と書かれているそうですね、行った事がないので分かりませんが(笑)。

住宅はどうでしょうか?

住宅展示場に行ってみましょう。そして「この展示場の建物、いくらですか?」と営業の方に聞いてみて下さい。

「この建物は4,320万円です」

などと答えてくれるところは、おそらく皆無かと思います。その代わりに、

「だいたい坪65万円くらいです」

といった答え方をするのが一般的です。「この建物66坪だから4,290万円って事?」

「だいたいそのくらいの金額になります」

住宅展示場では日常的にこんな会話がなされています。この「坪いくら」というのが坪単価と呼ばれるもので、住宅展示場に限らず、世の中で広く使われている、住宅の価格を表す言葉になっています。

以前、私はディーラーの社長さんの接客をした事があるのですが、「この建物はいくらか?」と聞かれ、「だいたい坪〇〇万円くらいです」と答えたところ、「何で金額が分からないんだ!」と叱られた事があります。「いや、住宅とはこういうものなんです」と何度説明しても分かってもらえず、難儀した覚えがあります。

坪単価とは、建築費を坪数で割ったもの。

例えば面積125㎡、金額2,500万円の建物があったとします。1坪は約3.3㎡ですので、125㎡は37.88坪。

金額2,500万円÷37.88坪=65.99万円 この建物は坪単価66万円だという事になります。

なぜ住宅は坪単価で表現される事が多いのか?それは住宅は大きさや価格がバラバラで、目安となる基準が欲しいからです。

みなさんよく勘違いされるのが、坪単価で住宅の金額を見積もっている、と思われている事です。なので55万円/坪と聞いていたので見積もりを出してみたら60万円/坪になっていて「話が違う」と怒るお客様もいらっしゃったりします。

違うんです。

住宅の金額は一つ一つの材料の単価に数量をかけて積算して出していきます。それが最終的に2,500万円になり、それを面積(坪数)で割ってみたら坪単価が66万円だったという事なんです。

順序が逆なんです。考えてみればすぐに分かりますよね。同じ面積でも仕様が違えば当然金額も変わりますし、窓が1つ増えただけでもその分、金額が上がりますから。それを坪単価計算で見積もりを出したらそれこそドンブリ勘定もいいところです。ただし、金額の目安にはなりますので、坪単価そのものは決して悪いものではありません。

住宅会社にとって「この家いくら?」と聞かれるのは実はちょっと面倒な事なのです。なので簡単に坪単価で済ませる事が多くなります。

裏を返せば住宅ほど価格が曖昧な「商品」はないともいえます。

次回はもう少し、坪単価について深掘りしていきたいと思います。

 

 

 

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