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今の家は車椅子が使えるか?

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今の家は車椅子が使えるか?

ほとんどの方が若い時に家を建てます。歳をとってから建てる方もいなくはないですが、数はそれほど多くありません。

若い頃に家を建てる方は、「広いリビングが欲しい」「南側に大きな窓」「キッチンはアイランドがいい」などなど、「憧れの間取り」を夢見てプランを考えます。優先順位はリビングだったり収納だったりキッチンだったり様々ですが、優先順位に上がらないものでも大切なものがあります。自分が歳を取った時でも安心して暮らしていける家かどうか、です。

みなさん、耐震性までは考えます。しかし、老後生活までは考えられない方が非常に多いです。若い方が老後を想像するのは、とても難しいことなのです。

私は設計段階で、当たり前にバリアフリー住宅の設計をするのが、設計側の責任として必要だと思っています。お客様が何も言わなくてもバリアフリーになっている、というのが理想と考えます。

住宅メーカーの営業は若い方が多いです。設計もそうです。若いお客様と波長が合い、意気投合して家づくりを進めていきます。それはそれで悪いことではありませんが、若い時の「理想の家」が、歳を取ってからも「理想の家」になっているかどうか、立ち止まって考える必要があります。

「高い位置に窓があって脚立を使わないと掃除ができない」「吹き抜けが大きくて部屋が暖まるまで時間がかかる」「エアコンを埋め込みにしたけど壊れて交換にお金が余分にかかった」等々、当時は意図していないことが、住んでいるといろいろ出てきます。

老後の生活もそうです。

「手すりはつけられるか?」「車椅子は使える寸法か?」「段差はないか?」「トイレは寝室のそばにあるか?」若い時にこんな事を想像しろというのが無理な話です。住宅の営業も設計も無頓着です。というより、あえて話題にしないでしょう。そこまで間取りに含めたら面倒になるし、予算も嵩んできますから。

本当は何も言わなくてもバリアフリーになっているのが理想ですが、そうなっていないのが現状です。そのため住宅性能表示制度でバリアフリーの基準が設けられていたりします。段差をなくしたり手すりを設置するのが必須になりますが、若い時に手すりは必要ないので、最低でも「取り付けられる状態の家にする」、「車椅子でも通れるようにする」配慮がプランニングに必要です。

人生100年時代、老後の事はなかなか想像できませんが、だからこそ、真心の設計力が問われます。

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